どうも皆さま、今週は上半期マイル王者を決める一戦「安田記念(G1)」の「レース傾向」の分析&解説と「タイム評価」をしていきます。
2歳馬戦・3歳以上馬戦が解放される6月初週、このシーズンの切り替わり真っ只中で行われるのが「安田記念(G1)」。この「安田」というのは戦前から戦後にかけて日本で競馬普及に尽力した「安田 伊左衛門(やすだ いざえもん)」氏の功績を称えてつけられており、その歴史は国内重賞レースとしては非常に古いものとなっております。
今回も過去5年間の「出走数」・「複勝数」・「複勝率」の3観点と過去10年間の「5年複勝率」の推移、過去5レースの「走破タイム」&「上がりタイム」から「タイム評価」を行って解説をしていきます。
また、今回の「レース傾向」から「前走レースデータ」ではなく、「直近国内5レースデータ」を活用していきますので、今までよりも詳細かつ膨大なデータで解説を行います。
- 解説の前に:データ対象と統計項目について
- 「安田記念(G1)」の傾向とは?
- 枠番「安定して7枠有利・直近では4枠上昇中」「ここ数年で6枠が底をつくほど不利」
- 性別・年齢「牝馬が好調」「直近では3歳~5歳中心」
- 斤量馬体重比・平均斤量馬体重比「複勝率に差があまりないので気にしなくてよし」
- オッズ「直近でより堅実なレースな傾向に」平均オッズ「0.8倍≦~<21.6倍が目安」
- 馬体重・平均馬体重「軽量な馬が有利・重量な馬は直近で不利な傾向に」
- 馬体重増減率「-2.0%<~≦-1.0%が好調傾向」平均馬体重増減率「0.9%<~≦1.2%が10年間通して有利」
- 平均距離(芝のみ)「1400m<~≦2000mが目安」
- レース間隔「中2週~中3週・中12週~が比較的に有利」平均レース間隔「中8週<~≦中16週に絞り込まれる」
- 「安田記念(G1)」:出走馬のタイム評価
- まとめ:現時点での「推奨馬」と「注目馬」は?
解説の前に:データ対象と統計項目について
本ブログでは「過去5年間のデータ」での統計を推奨しているため、本記事でもその方針に則って統計を取り分析を行います。
データ対象
本記事で解説する「レース傾向」は「2019年~2023年」までの期間で「「東京優駿(日本ダービー)(G1)」に出走し完走した馬」を「データ対象」とします。降着のあった馬に関しては、状況等を確認したうえで「降着後の順位」を参照しています。
また、「直近国内5レースデータ」は、「出走し完走した「国内レース」の直近5戦」の各種データを参照しています。日本国内でレースをほぼ行ったことがない海外馬に関しては、「「主戦国内外」問わず直近5戦」の活用可能な各種データを暫定データとして参照します。
統計項目
データ対象から抽出するデータは「本番レースデータ」と「直近国内5レースデータ」の2種類があります。それぞれに該当する項目は以下になります。
本番レースデータ
・枠番
・性別
・年齢
・斤量馬体重比
・オッズ
・馬体重
・馬体重の増減率(※1)
・レース間隔
以上、8項目
(※1)馬体重の増減率は前走レース時と比較して算出。前走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。
直近国内5レースデータ
・平均オッズ
・同場所数(※1)
・平均斤量馬体重比
・平均距離(芝のみ)
・平均馬体重
・平均馬体重増減率
・平均レース間隔
(※1)直近国内5レースの中で本番の競馬場と同じ場所を走ったことがある回数
以上、7項目。
以上がデータ対象と統計項目の説明となります。さてそれでは早速「レース傾向」の解説に入っていきたいと思います。
「安田記念(G1)」の傾向とは?
枠番「安定して7枠有利・直近では4枠上昇中」「ここ数年で6枠が底をつくほど不利」
それでは「枠番」の傾向からです。「複勝率の推移」を見てると安定して「7枠」が有利な傾向になっています。また、ここ数年で「4枠」の「複勝率」が上昇しており好調な様子です。
一方で、10年間の推移の中で「6枠」の「複勝率」は低下していき、直近の2シーズンでは「0%」になってしまったので要注意です。
性別・年齢「牝馬が好調」「直近では3歳~5歳中心」
「性別・年齢」の傾向は、直近のシーズンでは「3歳~5歳」に「複勝数」が固まっており、「6歳以降」の馬は向いていないという状況になっています。また「牝馬」の方が「複勝率」としては高いため、実力が見込める馬であれば軸馬にしても良いかもしれません。データ的には「ナミュール」が合致した傾向にあります。
斤量馬体重比・平均斤量馬体重比「複勝率に差があまりないので気にしなくてよし」
「斤量馬体重比」・「平均斤量馬体重比」は過去の傾向では階級ごとでの「複勝率」の差がそれなりにありましたが、直近シーズンでは幅が「15%~25%」に収まっており、他の項目と比較すると差があまり出ない傾向になっています。今回の「安田記念(G1)」においてはこの二つの項目は気にしなくても良さそうです。逆に言えば、この「10.4%<~≦12.8%」の階級から外れるようであれば警戒が必要ということでもあります。
オッズ「直近でより堅実なレースな傾向に」平均オッズ「0.8倍≦~<21.6倍が目安」
「オッズ」は基本的に低オッズが有利な堅実傾向になりやすいです。「複勝率の推移」を見ても「2018-2022年」から「0.8倍≦~<2.4倍」の「複勝率」が「2.4倍≦~<7.2倍」を越しているのでより堅い傾向になりつつあります。
一方、「7.2倍≦~<21.6倍」の階級は「複勝数」が最も多く、「年平均1頭以上複勝に入り込んでいる」という傾向になっています。人気上位の馬だけで固めるのではなく中位の高気配な馬を必ず入れた方が良さそうです。
「平均オッズ」に関しては「複勝数」の分布が「0.8倍≦~<21.6倍」の幅に収まっているので絞り込む条件として十分に活用できます。特に「2.4倍≦~<7.2倍」の階級は「複勝数」が「5以上ある」=「年平均1頭以上複勝に入り込んでいる」ということなので一番狙い目になると思われます。
馬体重・平均馬体重「軽量な馬が有利・重量な馬は直近で不利な傾向に」
「馬体重」・「平均馬体重」は比較的に軽量な馬の方が有利な傾向となっており、2項目ともに「440kg<~≦460kg」の「複勝率」が高くなっています。
特に「平均馬体重」に関しては、「複勝率の推移」を見るとここ数年で「500kg<~≦520kg」・「520kg<~≦540kg」の「複勝率」が低下しているので顕著に重い馬は不利な傾向になりつつあります。
馬体重増減率「-2.0%<~≦-1.0%が好調傾向」平均馬体重増減率「0.9%<~≦1.2%が10年間通して有利」
「馬体重増減率」の傾向は「複勝率の推移」を見ると「-2.0%<~≦-1.0%」・「1.0%<~≦2.0%」の「複勝率」が上昇傾向であり好調気味です。また「-1.0%<~≦0.0%」は「年平均1頭以上複勝に入り込んでいる」という傾向なので無視することはできません。
総じて言うと「複勝数」が分布している階級の中で極端に低下している階級はないので不利というものは無さそうです。ただ、「-2.0%<~≦-1.0%」は少し抜き出た「複勝率」になっているので有利とは言えそうです。
「平均馬体重増減率」は「複勝率の推移」を見ると多少の変動はあれども「0.9%<~≦1.2%」「複勝率」は10年間通して高い傾向なので有利と言えます。一方で、「-0.6%<~≦-0.3%」の「複勝率」はここ数年で「0%」にまで低下しているので警戒が必要です。基本的には、「直近国内5レース」を通して馬体重が増加している馬が大多数で「複勝に入り込んでいる」ということになるので、減少している馬は避けた方が良さそうです。
平均距離(芝のみ)「1400m<~≦2000mが目安」
「平均距離(芝のみ)」としては「複勝率の推移」を見ると、「出走数」は少ないのですが「2000m<~≦2200m」がここ数年で上昇しており好調です。また「1400m<~≦1600m」・「1600m<~≦1800m」の「複勝率」は安定しており、直近のシーズンデータでは「年平均1頭以上複勝に入り込んでいる」ということのなので目安として意識した方が良いでしょう。
逆に「1200m<~≦1400m」・「2200m<~≦2400m」はここ数年で不利な傾向になっています。マイル距離よりも極端に短い・長い場合は避けた方がよいでしょう。
レース間隔「中2週~中3週・中12週~が比較的に有利」平均レース間隔「中8週<~≦中16週に絞り込まれる」
「レース間隔」は「複勝数」が分布している階級が限定的になっています。「複勝率の推移」を見ると、特に「中2週~中3週」・「中12週~」の「複勝率」は比較的に高い傾向を維持しているので有利と言えそうです。
「平均レース間隔」は「中8週<~≦中12週」・「中12週<~≦中16週」に「複勝数」が集中しているため絞り込む条件としてはうってつけです。
「安田記念(G1)」:出走馬のタイム評価
タイムの評価方法は、各条件(競馬場・芝コース距離・馬場)における「走破タイム」&「上がりタイム」の分布が「正規分布」的になると仮定したうえで、NORM.DIST関数を用いて平均タイムと標準偏差から各タイムが分布上の何処に位置づけられるかを算出し、算出された値をそれぞれ「走破指数」・「上がり指数」とし、各馬が直近に出走し完走したレース5走の中央値を「走破タイム中央指数」・「上がりタイム中央指数」としました。
以下の表が今年の「安田記念(G1)」の出走予定馬の「走破タイム中央指数」・「上がりタイム中央指数」をまとめたものになります。
「赤色の数値」は全体1位、「オレンジ色の数値」は全体2位、「緑色の数値」は全体3位になっています。
走破タイム中央指数順位
全体1位「ソウルラッシュ」:今年の「読売マイラーズC(G2)」を勝利した馬です。既にマイル重賞レースを3勝しており、昨年の「香港マイル(G1)」でも4着と好走しているため間違いなく有力馬と言えます。
全体2位「エアロロノア」:一昨年の「六甲S(L)」の勝利馬で、直近のレースでは勝っていませんが重賞レースで掲示板に何度も入り込んでいます。比較的に穴馬と言えますが傾向とも嚙み合えば可能性があると言えます。
全体3位「セリフォス」:一昨年の「マイルチャンピオンシップ(G1)」の勝馬です。昨年からは重賞レースでの勝利がありませんでしたが、何度か2着に入り込んでいるので実力はまだまだありそうです。既にG1を1勝している時点で能力は証明されており十分に可能性があります。
上がりタイム中央指数順位
全体1位「カテドラル」:3年前の「京成杯オータムハンディ(G3)」を勝利した馬で、ベテラン8歳でありながら上がりタイム中央指数が最も良かったです。正直なところ、ここ数年の「安田記念(G1)」はあまり上がりタイムに左右されない傾向なので「走破タイム中央指数」を鑑みて判断すると難しいところです。もしかしたらの程度で考えておきましょう。
全体2位「フィアスプライド」:今年の「ヴィクトリアマイル(G1)」で2着に入った馬です。直近5レースを見ると重賞で何度も掲示板に入っており、「ヴィクトリアマイル(G1)」はレース条件が「安田記念(G1)」で同じであることも含めて可能性は十分に見込めます。
全体3位「ソウルラッシュ」:「走破タイム中央指数」と同様です。総じて言えば、総合的に最も能力がある馬と言えそうです。
まとめ:現時点での「推奨馬」と「注目馬」は?
「推奨馬」は「ソウルラッシュ」・「セリフォス」になります。
「ソウルラッシュ」:「タイム評価」は総合的に見て全体1位の能力であり、「レース傾向」は「年齢」を除いてほとんど噛み合っていると言えます。現在の6歳世代は能力が高い馬が集まっているので直近の「年齢」の傾向も無視できるのではないかと思います。
「セリフォス」:「レース傾向」が現状では出走馬の中で最も噛み合っており、「タイム評価」も総合的に見て上位に入る馬です。昨年は勝利を収めることができませんでしたが、能力は既に証明されている馬なので今年こそはと期待したいです。
「注目馬」は「レッドモンレーヴ」と香港馬「ロマンチックウォリアー」です。
「レッドモンレーヴ」:東京競馬場との相性が良く、昨年の「安田記念(G1)」も単勝10番人気ながら6着と好走をしているので期待ができます。「タイム評価」や「レース傾向」との相性も悪くはないため「複勝圏内」にならば十分に入る可能性があります。
「ロマンチックウォリアー」:既に香港内外でG1・7勝している馬であり実力は折り紙つきです。東京競馬場の馬場との相性や直近の短いレース間隔などが不安材料であり未知ではありますが、能力は間違いなく最上位の馬と言えます。残念ながらデータ的に不明な点が多いため「注目馬」に留めておきます。
以上が「推奨馬」と「注目馬」になります。
今回の記事は以上になります。閲覧ありがとうございました!!