【重賞レース2024】「東京優駿(日本ダービー)」の「レース傾向」と「タイム評価」

 どうも皆さま、とうとうこの季節になりました。全国8000頭弱の3歳馬の王者を決める大一番「東京優駿(日本ダービー)(G1)」の「レース傾向」の分析&解説と「タイム評価」をしていきます。
 まさに日本のホースマンたちの憧れのレース、世代の王者が決まる偉大なる瞬間、名誉極まる一戦と言って過言でないのが「東京優駿(日本ダービー)(G1)」です。
 今回も過去5年間の「出走数」・「複勝数」・「複勝率」の3観点と過去10年間の「5年複勝率」の推移、過去5レースの「走破タイム」&「上がりタイム」から「タイム評価」を行って解説をしていきます。
※記事を書いている最中に「メイショウタバル」の出走取消が出たため「メイショウタバル」の「タイム評価」データもそのまま掲載しております。「メイショウタバル」ができるだけ早く無事に復帰できることを祈っています。

解説の前に:データ対象と統計項目について

 本ブログでは「過去5年間のデータ」での統計を推奨しているため、本記事でもその方針に則って統計を取り分析を行います。

データ対象

 本記事で解説するレース傾向は「2019年~2023年」までの期間で「東京優駿(日本ダービー)(G1)」に出走し完走した馬」を「データ対象」とします。降着のあった馬に関しては、状況等を確認したうえで「降着後の順位」を参照しています。
 また、前走レースのデータ」は、前走が「海外レース」の場合は国内レースと同様のデータを取得できないため、「最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。前走が「未出走」または「未完走」の場合も同様に「最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。

統計項目

 データ対象から抽出するデータは「本レース項目」と「前走レース項目」の2種類に分けました。それぞれに該当する項目は以下になります。

本レース項目

枠番
斤量馬体重比
オッズ
馬体重
馬体重の増減率(※1)
レース間隔
通算平均距離(芝のみ)
通算レース数
以上、8項目
(※1)馬体重の増減率は前走レース時と比較して算出。前走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

前走レース項目

前走レースの開催競馬場
前走レースの格付け(※2)
前走レースの斤量馬体重比
前走レースのコース距離
前走レースの馬体重
前走レースの馬体重の増減率(※4)
以上、6項目
(※2)条件戦のクラスは現行の勝数による分け方を基準とし、過去のクラス分けは現行の基準で換算。(500万下⇒1勝クラス・1000万下⇒2勝クラス・1600万下⇒3勝クラス)
また、リステッドレースはオープンレースとして換算
(※3)前走の馬体重の増減率は前々走レース時と比較して算出。前々走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「前走レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

「東京優駿(日本ダービー)(G1)」の傾向とは?

枠番「安定して6枠有利な傾向」「ここ数年で3枠が右肩上がり」

 それでは「枠番」の傾向からです。「複勝率の推移」を見ても分かる通り、安定して「6枠」が有利な傾向になっています。また、ここ数年で「3枠」の「複勝率」が上昇しておりやや有利な傾向になってきています。
 10年間の推移でも特に不利な傾向なのは「5枠」です。また、「複勝率の推移」を見ると「1枠」の「複勝率」も低下傾向なので「タイム評価」や他の項目の傾向が良くなければ避けた方が良いでしょう。

斤量馬体重比「信頼性が高いのは11.6%<~≦12.2%」「出走数は少ないが10.4%<~≦11.0%もアリ」前走レース斤量馬体重比「11.0%<~≦11.6%と12.2%<~≦12.8%が目安」

 「斤量馬体重比」は「複勝率」で見ると「12.2%<~≦12.8%」の階級が突出していますが、「出走数」の少なさを考えると信頼性は低いです。「出走数」と「複勝率の推移」を鑑みると、「11.6%<~≦12.2%」が鉄板と言えそうです。「10.4%<~≦11.0%」も「出走数」は少ないのですが、「複勝率」は「2017-2023年」以降安定して比較的に高くなっているので信頼性はある程度保証されています。また「複勝率の推移」で見ると「11.0%<~≦11.6%」の階級は「複勝率」が低下傾向なので少し警戒が必要です。
前走レース斤量馬体重比」は「複勝率の推移」としては変動がそれなりにあれども10年間通して「10.4%<~≦11.0%」の階級が高い傾向になっています。また、「11.0%<~≦11.6%」の階級は「複勝率」が上昇傾向なので期待しても良さそうです。
 一方で、「11.6%<~≦12.2%」は緩やかに低下してきているので少し警戒したいところです。

オッズ「直近でより堅実なレースな傾向に」前走レースオッズ「ここ数年で複勝数は2.4倍≦~<21.6倍の範囲に狭小化」

 「オッズ」は他のレースと比較しても幅広く「複勝数」が分布していますが、基本的には低オッズが有利な堅実傾向になりやすいです。「複勝率の推移」を見ても直近の「2019-2023年」で「0.8倍≦~<2.4倍」の「複勝率」が「2.4倍≦~<7.2倍」を越しているのでより堅い傾向になりつつあります。、信頼性としては「2.4倍≦~<7.2倍」の「複勝数」が「5」以上なので高いと言えます。

 「前走レースのオッズ」に関しても「2.4倍≦~<7.2倍」の「複勝数」が「5」以上あるので信頼性は高いと言えます。また直近の「2019-2023年」で「2.4倍≦~<7.2倍」と「7.2倍≦~<21.6倍」の2階級にしか「複勝数」が分布しなくなったのでより絞り込みに扱いやすい傾向になっています。

馬体重・前走レース馬体重「複勝率ならば520kg<~≦540kg」「複勝数ならば480kg<~≦500kg」

 「馬体重」・「前走レース・馬体重」はともに「出走数」は少ないのですが「2016-2020年」以降は「520kg<~≦540kg」の大型の馬の「複勝率」が安定して高い傾向です。また、「480kg<~≦500kg」は「複勝数」が過去5年間で「5」以上あり信頼性は高いです。一方で「500kg<~≦520kg」のやや大きめの馬はここ数年で「複勝率」が大幅に低下しているので警戒が必要です。
馬体重」に限った話では「440kg<~≦460kg」の「複勝率」がここ数年で上昇傾向なので期待しても良さそうです。

馬体重増減率「0.0%<~≦1.0%は極端に不利な傾向」前走レースの馬体重増減率「-2.0%<~≦0.0%が目安」

 「馬体重増減率」の傾向は、「複勝数」が「-1.0%<~≦0.0%」の階級で「5」以上あり、「複勝率の推移」で見ても安定している傾向なので信頼性は高いと言えます。「複勝率」としては変動がそれなりにあれど「-3.0%<~≦-2.0%」が安定して高く最も可能性があると言えます。また、「1.0%<~≦2.0%」も上昇傾向なので期待しても良さそうです。一方で「0.0%<~≦1.0%」は緩やかに低下傾向なので警戒が必要です。

前走レース・馬体重増減率」は「複勝率の推移」を見ると「複勝数」の分布範囲が狭小化していることがよく分かります。ここ数年で「0.0%<~≦1.0%」・「1.0%<~≦2.0%」の「複勝率」は「0%」になっており、「-2.0%<~≦-1.0%」・「-1.0%<~≦0.0%」の「複勝率」が上昇しています。

レース間隔&前走レースのコース距離・場所・格付け「前走レース「皐月賞(G1)」がド安定」

 「レース間隔」と「前走レース」の「格付け」・「競馬場」・「コース距離」の傾向です。
 各項目の「複勝率」が最も高い要素を挙げると、「中4週~中5週」・芝2000」・「中山」・「G1」なので、前走レース「皐月賞(G1)」が有利なのは一目瞭然です。
 それ以外の要素の組み合わせで考えると「テレビ東京杯青葉賞(G2)」・「毎日杯(G3)」・「京都新聞杯(G2)」は前例があるレースですが、「皐月賞(G1)」を走っていた馬たちよりも大幅に不利な傾向なので、「タイム評価」や他の項目の傾向が良くなければ避けた方が良いでしょう。

通算平均距離(芝のみ)「1900mを超えると不利な傾向に変化」

 今回は「性別・年齢」のデータがほぼ意味を為さないので「通算平均距離」と「通算レース数」を分析してみました。
 「通算平均距離」としては「複勝率の推移」を見ると「1640m<~≦1770m」・「1770m<~≦1900m」の階級がここ数年で有利な傾向になってきており、逆に「1900m<~≦2030m」・「2030m<~≦2160m」は不利な傾向になっています。
 「1770m<~≦1900m」に関しては「複勝数」が過去5年間で「5」以上あり「複勝率」も比較的に高いため信頼度は高いです。ここが狙い目になってくると思われます。

通算レース数「少ない方が有利ではある・基本的に通算3戦~通算6戦」

 「通算レース数」は少ない方が「複勝率」は高いという傾向になっています。特に「複勝率の推移」を見るとここ数年で「通算3戦」の馬の「複勝率」が上昇しており顕著になってきているように見えます。「複勝数」の分布から鑑みるに基本的には「通算3戦~通算6戦」が目安と言えそうです。

「東京優駿(日本ダービー)(G1)」:出走馬のタイム評価

 タイムの評価方法は、各条件(競馬場・芝コース距離・馬場)における「走破タイム」&「上がりタイム」の分布が「正規分布」的になると仮定したうえで、NORM.DIST関数を用いて平均タイムと標準偏差から各タイムが分布上の何処に位置づけられるかを算出し、算出された値をそれぞれ「走破指数」・「上がり指数」とし、各馬が直近に出走し完走したレース5走の平均値を算出します。
 その平均値に各レースの「走破タイム」&「上がりタイム」の「変動係数」を算出し、同じくNORM.DIST関数を用いて算出した値の平均値を掛け合わせることで補正を行い、算出された値を平均走破指数」・「平均上がり指数」としました。
 以下の表が今年の「優駿牝馬(オークス)(G1)」の出走予定馬の平均走破指数」・「平均上がり指数」をまとめたものになります。 
 「赤色の数値」は全体1位、「オレンジ色の数値」は全体2位、「緑色の数値」は全体3位になっています。

走破タイム平均指数順位

全体1位レガレイラ」:走破タイム平均指数は昨年に牝馬として初めて「ホープフルS(G1)」を勝利した「レガレイラ」が全体1位でした。前走も牡馬に交じり「皐月賞(G1)」を走り、牝馬としては好走した6着の結果でした。本走では再び「ルメール騎手」に乗り替わり、走りがまた変わると思われるので期待をしたいところです。牝馬という点は前例が少ないのではっきりと評価することが難しい要素ですが、「ホープフルS(G1)」・「皐月賞(G1)」の走りを考えれば不利な要素とはなり得ないと思います。

全体2位コスモキュランダ」:今年の「弥生賞(G2)」の勝利馬であり、「皐月賞(G1)」2着であった馬です。「弥生賞(G2)」時点ではフロップと見られていた面もありましたが、「皐月賞(G1)」の結果から改めて実力を認められた印象があります。「皐月賞(G1)」時点でも走破タイム平均指数は高い部類でしたがより顕著になりました。「通算レース数」が多い点は気掛かりで、コンディションが良い状態を保てているかが鍵になると思います。

全体3位サンライズアース」:「皐月賞(G1)」の走破タイム平均指数では全体1位でしたが、本走でも全体3位の上位の評価になっています。「通算平均距離」が若干長めで、「皐月賞(G1)」の結果を含めて考えるともしかしたら秋以降に真価が発揮される馬なのかなという印象です。期待は持てる馬なので注目に値しますが本走で活躍するかを考えると少し控え目に評価したくなります。

上がりタイム平均指数順位

全体1位アーバンシック」:クラシックステップレースでは「京成杯(G3)」に出走し全体1位の上がりタイムを出して2着、前走レース「皐月賞(G1)」では全体2位の上がりタイムで4着と末脚の良さを発揮しています。父馬は「レガレイラ」と同じ「スワ―ヴリチャード」であり、母馬の系統は今年の桜花賞馬の「ステレンボッシュ」と同じであるため血統面では素質の良さが際立っています。おそらく距離が延びたとしても自慢の末脚で上位に入り込めると思います。

全体2位ビザンチンドリーム」:前走レース「皐月賞(G1)」では上がりタイム平均指数全体1位でしたが、本走でも上位3位に入る評価になっています。前走レースは残念ながら末脚の良さを発揮することができず大敗してしまいましたが、レースレコードが出るくらいに前半のペースが速かったのが原因だと思われます。「サンライズアース」と同様に「通算平均距離」が若干長めなのでもしかしたら秋以降の長距離戦の方が向いているのかもしれません。前走レースの結果から考えるとあまり高くは評価できないです。

全体3位ジャスティンミラノ」:言わずと知れた今年の「皐月賞馬」です。前走では走破タイム平均指数があまり良くはなかったので展開次第という評価でしたが、レースレコードを出して勝利して衝撃を受けました。実績が言わずもがななので特段に語ることも少ないのですが、間違いなく上位に入り込んでくるでしょう。

まとめ:現時点での「推奨馬」と「注目馬」は?

 「推奨馬」は「ジャスティンミラノ」・「レガレイラ」になります。
 「ジャスティンミラノ」:説明不要でしょう。「タイム評価」・「レース傾向」ともに良好です。距離が延びる点が唯一の懸念点ですが、父馬「キズナ」の過去の馬たちはマイル~中長距離まで走ることができているため血統面で考えれば大丈夫であると思います。無事に無敗の2冠馬になれることを期待します。
 「レガレイラ」:「皐月賞(G1)」の結果は残念でしたが現状でも走破タイム平均指数上がりタイム平均指数ともに上位クラスであり、総合的な「タイム評価」は最上位と言って過言ではありません。牝馬であることが評価を難しくしている点になるのですが、実績を考えればそれほど気にならないと思っています。あとは精神面で問題なくレースに迎えるかが鍵となるので陣営の頑張りに期待しましょう。

 「注目馬」は「皐月賞(G1)」の出走組では「シンエンペラー」、それ以外では「ジューンテイク」です。
 「シンエンペラー」:2歳戦から世代のトップを維持し続けている馬で「皐月賞(G1)」では5着となっています。血統的にもフランスの「凱旋門賞(G1)」を勝った「ソットサス」の全弟にあたり世界的な良血馬です。上がりタイム平均指数はそれほど全体でも下位になりますが、走破タイム平均指数としては全体4位になるため実力としては十分に問題はありません。比較的に末脚が鍵となるレースなので展開や馬場状況によっては厳しくなってしまうかもしれません。しかし、総合的に考えた時に上位に入る可能性が高い馬ではあるので注目したいところです。
 
ジューンテイク」:「皐月賞(G1)」の出走組以外で挙げるとしたならばこの一頭になります。2歳戦の「朝日フューチュリティステークス(G1)」では単勝11番人気ながら4着の好走をしており、その後の2走も好走して前走レース・「京都新聞杯(G2)」では見事勝利を収めました。また条件戦が多いのも関わらず上がりタイム平均指数は比較的に優秀で伏兵としては十分に期待できます。通算レース数が多いのが気掛かりですが、穴馬としてなら注目してもいいのではないでしょうか。

 以上が「推奨馬」と「注目馬」になります。

今回の記事は以上になります。閲覧ありがとうございました!!