【レース解説2024】「大阪杯」へのステップレース!!「金鯱賞」の傾向とは?

 どうも皆さま、今回は「金鯱賞」の解説記事になります。
 「金鯱賞」と言えば、古くは「宝塚記念」の前哨戦、その後一時期は「有馬記念」の前哨戦、そして現在は「大阪杯」の前哨戦、と開催時期がたびたび変更されてきた歴史があります。(この影響で「ヤマカツエース」の「同一重賞最短間隔連覇」という珍記録が生まれました)
 とは言え、どの開催時期でも「G1」レースの前哨戦だったこともあり毎年強豪馬が集まってレベルの高いレースになります。最近ではここをステップに香港遠征する馬もちらほらいます。
 果たして今年はどのようなレースになるのか!?今回も「出走数複勝数複勝率」の観点から解説してきます。

今年の「金鯱賞」の特徴

 今年の「金鯱賞」は直近の年に比べて登録馬が多かったのでフルゲートに近いレースになると可能性もありましたが、結局例年と変わらない13頭立てのレースになりました。
 天候は当日・前日ともに「晴れ」の予報であるためほぼ間違いなく「良馬場」が予測され、中京開催の初週にもなるので高速馬場になると考えられます。
 話題となっている馬としては、昨年の「菊花賞」を制覇した「ドゥレッツァ」、連覇が期待されている「プログノーシス」、同競馬場&同距離の「中日新聞杯」を勝った「ヤマニンサルバム」、そして約2年ぶりの実戦となる「ヨーホーレイク」が挙げられます。
 「ドゥレッツァ」は長距離戦の「菊花賞」を勝っていることもあり「スタミナ>スピード」のイメージの馬になっているので、今回のレース結果は今後のレース選択や予想に影響が大きく出てくるのではないかと思います。また次走は「天皇賞・春」が予定されているので前例が少ないローテーションであることも注目されます。
 「プログノーシス」は昨年の「金鯱賞」・「札幌記念」を制しており、「G1」レースでも香港の「クイーンエリザベス2世カップ」で2着、「天皇賞・秋」で3着と実力は申し分のない馬です。今年で6歳になりますがタイトル獲得が十分に期待される1頭なので目が離せないです。
 「ヤマニンサルバム」は昨年末に「金鯱賞」と同じ条件の中京競馬場・距離「2000m」で行われる「中日新聞杯」を制しており好走が期待されます。斤量の条件も「中日新聞杯」と同じであり、鞍上が「三浦皇成」騎手になってからは連勝中なのも好気配です。
 「ヨーホーレイク」は一昨年の「日経新春杯」を制してから屈腱炎の影響で2年ほどの休養を経ての復帰レースになります。衰えていなければ実力はまだまだ十分あると思われますが、2年以上のブランクからの実戦というのはほぼ前例がありません。まずは無事に完走してくれることを祈ります。(長期休養明けの重賞勝利は障害レースを含めても「テイエムドラゴン」の約1年7か月が最長なのでもしも勝利すれば間違いなく記録更新です。とは言え、無事に完走が一番大事!)
 上述した馬たち以外も重賞レースで好走した馬やオープン入りしたばかりの勢いある馬など甲乙付け難いです。それでは「金鯱賞」の傾向を見ていきましょう!!

解説の前に:データ対象と統計項目について

 本ブログでは「過去5年間のデータ」での統計を推奨しているため、本記事でもその方針に則って統計を行います。

データ対象

 本記事で解説する「金鯱賞」は「2019年~2023年」までの期間で金鯱賞」に出走し完走した馬」を「データ対象」とします。
 また、前走レースのデータは、前走が「海外レース」の場合は国内レースと同様なデータを取得できないので、「最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。
 前走が「未出走」または「未完走」の場合も同様に、「最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。

統計項目

 データ対象から抽出するデータは「本レース項目」と「前走レース項目」の2種類に分けました。それぞれに該当する項目は以下になります。

本レース項目

枠番
性別
年齢
オッズ
馬体重
馬体重の増減率(※1)
斤量馬体重比率
レース間隔
以上、8項目
(※1)馬体重の増減率は前走レース時と比較して算出。前走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

前走レース項目

前走レースの開催競馬場
前走レースの格付け(※2)
前走レースのコース距離
前走レースの馬体重
前走レースの馬体重の増減率(※4)
前走レースの斤量馬体重比率
以上、6項目
(※2)条件戦のクラスは現行の勝数による分け方を基準とし、過去のクラス分けは現行の基準で換算。(500万下⇒1勝クラス・1000万下⇒2勝クラス・1600万下⇒3勝クラス)
また、リステッドレースはオープンレースとして換算
(※3)前走の馬体重の増減率は前々走レース時と比較して算出。前々走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「前走レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

「金鯱賞」の傾向とは?

枠番の傾向

 まずは枠番です。「複勝率」でみると「1枠」が突出して高く、それ以外は外側に行くにつれて「複勝率」が上昇しているように見えます。
 「出走数」の傾向を見ればよく分かるのですが、フルゲートで行われることが少ないレースなので「1枠」は単枠になりやすいです。単枠だとゲート内で隣の馬の影響を受けにくく、「1枠」となれば一番スムーズにコース取りを行えるのでなおさら有利に働きます。それらが影響して高いのかもしれません。一方で、「2枠」~「4枠」までに比べて「5枠」以降の方が平均的に「複勝率」高くなっています。第2回中山開催初週に行われた「中山記念」に関しても似たような傾向が見られたため開催初週のレースでありがちな傾向なのかもしれません。
 最内側「1枠」と外側の「5枠」~「8枠」を注目しましょう

性別・年齢

 「性別」と「年齢」の傾向です。「性別」は「牡馬」の「出走数」が圧倒的に高いのですが、「複勝率」では「牝馬」が若干高くなっています。しかし、今年は出走予定馬の中で「牝馬」が1頭もいないので傾向としては活用できないです。「セン馬」に関しては過去5年間では1頭も出走していなかったのではっきりとした傾向は分かりませんでした。
 「年齢」では「4歳」~「6歳」までに「複勝数」が分布しており、「7歳」以降は全く「複勝数」が分布していないという傾向になっています。他のレースと比較しても「7歳」で「複勝数」が分布していないのは意外でした。比較的に高速馬場になりやすいレースなので、年齢を重ねて中距離レースに求められるキレやスピードが落ち込んだ影響でついていけなくなってしまうことが原因なのではないかと思います。

オッズ・前走レースのオッズ

 「オッズ」に関しては2021年に10番人気だった「ギベオン」が勝利したこともあり、「194.4<=~<583.2」倍でも「複勝数」が分布しています。それを抜きに考えると基本的には「0.8<=~64.8」倍に「複勝数」が分布しており、「0.8<=~<21.6」倍までは「複勝率」が「30%」以上あるのでその範囲内を基準として考えるべきだと思います。
 「前走レースのオッズ」も低オッズの馬の方が比較的に有利であることが分かりますが、本レースの「オッズ」の傾向と比べれば「2.4<=~<64.8」倍までの範囲はそれほど差が大きくないのでどちらかと言えば「64.8<=~<194.4」倍以降に「複勝数」が分布していないことに注目した方が良さそうです。

斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率

 「斤量馬体重比率」は「10.4<~<=12.8」%までは比率が低い方が若干有利という傾向があります。一方で「12.2」%を超えても「複勝率」が低下する傾向はそれほど顕著には見られないので、比率が高すぎるからと言って予想から外すのも躊躇われると思います。
 「前走レースの斤量馬体重比率」はより顕著に比率が低い方が有利という傾向になっています。「10.4<~<=11.0」%の範囲内であるのならば優先的に印をつけておくといいと思います。

馬体重・前走レースの馬体重

 「馬体重」に関しては特徴的なグラフの形になっています。本レース・前走レースともに「500<~<=520」kgで「複勝率」が最も高くなっているのですが、本レースでは「480<~<=500」kgまではむしろ軽い方が有利な傾向になっています。「420<~<=440」kgを頂点として馬体重が増えていくほど減少していき「480<~<=500」kgで底になります。
 「前走レースの馬体重」は本レースの分布が内側に寄ったような形になっており、「複勝数」も「460<~<=520」kgに集中しています。基本的にはその範囲内に収まる馬を選びたいです。
 総合的には「馬体重」・「前走レースの馬体重」ともに「500<~<=520」kgの範囲が一番の狙い目、本レース時の「馬体重」は「480<~<=500」kgまでは軽い馬を優先、「前走レースの馬体重」は「460<~<=520」kgの範囲内に収まる馬を優先する方針でいいと思います。
 

馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率

 「馬体重増減率」は「複勝率」の傾向を見ると一部の例外を除けば「-1.0<~<=0.0」%以降に「複勝数」が分布しているので馬体重が増えている馬の方が有利になります。「前走レースの馬体重増減率」に関しても同じような傾向が見られます。
 「馬体重増減率」・「前走レースの馬体重増減率」ともに「-1.0<~<=0.0」%以降、重量に置き換えれば減少していたとしても大体「-4」kgまでを目安に考えると良いでしょう。

前走レースの格付け・競馬場・コース距離

 前走レースの「格付け」・「競馬場」・「コース距離」の3項目の傾向です。
 「前走の格付け」は前走が「G1」レースだった馬の「複勝率」が最も高いのですが、その次に高いのが「OP」レースだった馬になります。やはりオープン上りで勢いのある馬の方が有利になるのかもしれません。とは言え、今年は前走レースが「OP」レースに該当するのが「レッドジェネシス」のみ(リステッドレース(L)はオープンレース(OP)として換算)、なおかつダートレースであったこと考えると今年は傾向としてあまり活用できないと思われます。一方で「G2」レースだった馬はそれなりの「出走数」があるのにも関わらず「複勝数」が分布していないので警戒が必要です。
 「前走レースの競馬場」で見ると最も「複勝率」が高かったのは「東京」、その後は順に「中京」・「中山」・「阪神」・「京都」となっています。「中京」を除けば前走の場所がいわゆる「中央場所」であった方が高い傾向です。「ローカル」だった馬は避けたほうがいいでしょう。
 「前走のコース距離」は「複勝数」が「芝2000」m以上の距離に分布したはっきりとした傾向が分かります。「芝2500」m以降のレースだった馬はいなかったので傾向がどうなるのかは残念ながら分かりませんでした。
 総合的に考えると、以下のレースを走っていた馬が有力になります。

  • G1」レース:「有馬記念」・「天皇賞・秋」・「ジャパンC
  • G3」レース:「中山金杯」・「中日新聞杯」・「チャレンジC
  • OP(L)」レース:「白富士S」・「アンドロメダS」・「オクトーバーS

レース間隔

 「レース間隔」の傾向は「中6週~中7週」以降から「複勝数」が分布しており、「出走数」の大半を「中12週~」が占めています。
 「格付け」・「競馬場」・「コース距離」の3項目の傾向ともマッチしているので、上述した通りのレースに出ている馬が狙い目になると思います。

傾向の優先順位は?

以上のデータの傾向の強弱から項目に優先順位を付けるとするならば以下のようになります。

  1. 前走レースの格付け・競馬場・コース距離
  2. 馬体重・前走レースの馬体重
  3. 馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率
  4. 枠番
  5. オッズ・前走レースのオッズ
  6. 斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率
  7. 性別・年齢
  8. レース間隔

優先順位1位前走レースの格付け・競馬場・コース距離」:レースを特定しやすくはっきりとした傾向があったので今回は優先順位が最も高いと判断しました。
優先順位2位馬体重・前走レースの馬体重」:ともに「500<~<=520」kgの範囲が最も「複勝率」が高く、本レースの「馬体重」は「420<~<=440」kgを頂点として馬体重が増えていくほど減少していき「480<~<=500」kgで底になる傾向がありました。「前走レースの馬体重」も「460<~<=520」kgの範囲内で「複勝数」の分布が集中していて分かりやすい傾向になっています。
優先順位3位馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率」:「複勝数」が分布している階級には特徴があったと言えます。本レース・前走レースともに「-1.0<~<=0.0%以降にほとんど分布していたため目安としては分かりやすいと思います。
優先順位4位枠番」:「1枠」が最も有利でそれ以外は「5枠」~「8枠」の外側の枠番が比較的有利な傾向になっています。「2枠」~「4枠」が不利であることを覚えておきましょう
優先順位5位オッズ・前走レースのオッズ」:本レースは「0.8<=~<21.6」倍までは「複勝率」が「30%」以上あり、「0.8<=~<2.4」倍に関しては「複勝率」が「100%」なので軸になる馬を決める基準になると思います。
優先順位6位斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率」:「斤量馬体重比率」に関しては他の項目と比較して傾向が分かりにくいかったように感じました。「前走レースの斤量馬体重比率」は軽い方が有利という傾向ではあったのでその点を注目するといいかもしれません。
優先順位7位性別・年齢」:今年のレースは13頭中12頭が「牡馬」なので、性別による有利不利がほとんど生じないです。年齢に関しては若いほど「複勝率」が高く、「7歳」以降は「複勝数」が分布していないという傾向なので活用できると思います。
優先順位8位レース間隔」:「中6週~中7週」以降から「複勝数」が分布しているという傾向があるのですが、今年のレースは13頭中8頭が「12週~」に該当するのでこれに関してもそれほど有効に活用できないと判断しました。

まとめ:現時点での「推奨馬」と「注目馬」は!?

 「推奨馬」は「ドゥレッツァ」と「プログノーシス」になります。
 「ドゥレッツァ」は当日のオッズが恐らく2倍代前半になることが想定され、選択肢から外すのはあまりにも躊躇われます。過去の馬体重を鑑みると「斤量馬体重比率」が高くなる点や「菊花賞」から「金鯱賞」というローテーションの前例がない点が不安材料ですが、勢いのある「4歳」馬ということで期待したいです。
 「プログノーシス」はあらゆる面から見て傾向とマッチしているうえに実績のある馬なので文句なしに「推奨」できます。鉄砲明けの戦績も非常に良いのもプラス評価です。前走の「香港カップ」では5着という結果でしたが、国内レースにおいてはまだまだトップクラスであると思います。
 「注目馬」は「ヤマニンサルバム」です。
 「ヤマニンサルバム」は記事の始めの方にもあったように「金鯱賞」と同条件の「中日新聞杯」を前走で制しており、その他のレースでも中京競馬場で4勝しており「中京巧者」と言っていいです。傾向としても「馬体重」に関して「500<~<=520」kgに該当している点が特に注目できる点です。不安点としては21戦目にして初めての鉄砲明けのレースであることが挙げられ気になる要素ではあります。

 以上が「推奨馬」と「注目馬」になります。

今回の記事は以上になります。閲覧ありがとうございました!!