【重賞レース2024】クラシック三冠、始まりの頂き!!「皐月賞」の傾向とは?

レース別記事

 どうも皆さま、今回はクラシック三冠初戦「皐月賞(G1)」の「レース傾向」と出走予定馬の「タイム評価」を分析&解説していきます。
 「皐月賞(G1)」は近代競馬の発祥地イギリスの「2000ギニーステークス(G1)」に位置付けるクラシック三冠レースの初戦、阪神芝2000mで行われるスピードレースとなっています。条件としては2歳G1の「ホープフルステークス(G1)」と同様になっていますが、レースの毛色は全然違うため傾向もまるっきり変わってきます。
 今回も「出走数」・「複勝数」・「複勝率」の3観点から「レース傾向」を分析しつつ、「タイム評価」も行っていきます。また今回の「レース傾向」は過去10年間の5年ごとの統計も行ったため、各項目の6期間分の「複勝率」の移動推移のデータも掲載しています。

桜花賞2024:出走馬のタイム評価

 タイムの評価方法は、各条件(競馬場・芝コース距離・馬場)における「走破タイム」&「上がりタイム」の分布が「正規分布」的になると仮定したうえで、NORM.DIST関数を用いて平均タイムと標準偏差から各タイムが分布上の何処に位置づけられるかを算出し、算出された値をそれぞれ「走破タイム指数」・「上がりタイム指数」とし、各馬が直近に出走し完走したレース5走までの「走破タイム指数」・「上がりタイム指数」のそれぞれの平均値を比較して評価します。
 以下の表が今年の「桜花賞(G1)」の出走予定馬の「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」をまとめたものになります。 
 「赤色の数値」は全体1位、「オレンジ色の数値」は全体2位、「黄緑色の数値」は全体3位になっています。

走破タイム平均指数順位

全体1位サンライズアース」:「走破タイム平均指数」全体1位は「サンライズアース」でした。2歳時は「ホープフルステークス(G1)」に出走予定でしたが、脚の負傷により取消となってしまい不完全燃焼で終わりました。しかし、3歳になってからの前走レース「すみれS(L)」では会心の勝利で実力を十分に披露することができました。レース経験が少なく他の実力馬と走っていない点が気掛かりですが、数値的な観点で見れば現時点でトップクラスと言えます。

全体2位シンエンペラー」:「シンエンペラー」は2歳時の「ホープフルステークス(G1)」で2着、3歳になってからの「報知杯弥生賞ディープインパクト記念(G2)」では2着と現時点では世代トップクラスの活躍をしています。また、全兄が凱旋門賞馬「ソットサス」であることも注目される馬で、血統面から考えても実力は折り紙付きと言っていい存在です。

全体3位レガレイラ」:2017年の「ファンディーナ」以来の参戦となる牝馬として注目が集まっているのが「レガレイラ」です。何と言っても「ホープフルステークス(G1)」を牝馬として初めて勝利したことが目を見張る実績で、1948年の「ヒデヒカリ」以来となる78年ぶりの牝馬の皐月賞馬が期待されています。数値的な「走破タイム平均指数」の観点から見ても秀でた能力であることも示されており、「上がりタイム平均指数」全体4位の数値になっているため文句なしとって差し支えないでしょう。

上がりタイム平均指数順位

全体1位ビザンチンドリーム」:「上がりタイム平均指数」全体1位は今年の「きさらぎ賞(G3)」を勝利した「ビザンチンドリーム」でした。「新馬戦」では2着に3馬身差の圧勝かつ上がりタイムも出走馬中1位、「きさらぎ賞(G3)」は接戦となりましたが上がりタイムは出走馬中1位という素質が感じられる出来でした。「走破タイム平均指数」全体4位であるので実力は十分にあると言っていいでしょう。

全体2位ジャスティンミラノ」:昨年の2歳G1「朝日フューチュリティS(G1)」を勝った「ジャンタルマンタル」を「共同通信杯(G3)」で破ったのが「ジャスティンミラノ」です。過去2戦ともに出走馬中2位の上がりタイムを出しており、末脚は申し分ない馬と言えます。しかし、「走破タイム平均指数」は全体16位と最下位に近く、前半タイムがスローペースな展開かつ先頭集団近くの馬群前方の位置に付くことができないと少し厳しいかもしれません。

全体3位アーバンシック」:あまり注目を浴びていない馬ですが、「上がりタイム平均指数」全体3位は「アーバンシック」でした。前走レースの「京成杯(G3)」は2着かつ上がりタイムは出走馬中1位、前々走レースの「百日草特別(1勝クラス)」は1着かつ上がりタイムは出走馬中1位、と能力と実績は十分に示されています。伏兵として期待ができる要素を持っていますが、一方で上の「ジャスティンミラノ」と同様に「走破タイム平均指数」は全体17位と最下位に近いためレースの状況次第ではという感じがします。

解説の前に:データ対象と統計項目について

 本ブログでは「過去5年間のデータ」での統計を推奨しているため、本記事でもその方針に則って統計を取り分析を行います。

データ対象

 本記事で解説するレース傾向は「2019年~2023年」までの期間で「皐月賞(G1)」に出走し完走した馬」を「データ対象」とします。
 「複勝率」の移動推移は「2014年~2023年」までの期間で「皐月賞(G1)」に出走し完走した馬」を「データ対象」と、5年ごとに「複勝率」を算出しています。
 また、前走レースのデータは、前走が「海外レース」の場合は国内レースと同様なデータを取得できないため、「最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。前走が「未出走」または「未完走」の場合も同様に「最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。

統計項目

 データ対象から抽出するデータは「本レース項目」と「前走レース項目」の2種類に分けました。それぞれに該当する項目は以下になります。

本レース項目

枠番
性別
年齢
オッズ
馬体重
馬体重の増減率(※1)
斤量馬体重比率
レース間隔
以上、8項目
(※1)馬体重の増減率は前走レース時と比較して算出。前走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

前走レース項目

前走レースの開催競馬場
前走レースの格付け(※2)
前走レースのコース距離
前走レースの馬体重
前走レースの馬体重の増減率(※4)
前走レースの斤量馬体重比率
以上、6項目
(※2)条件戦のクラスは現行の勝数による分け方を基準とし、過去のクラス分けは現行の基準で換算。(500万下⇒1勝クラス・1000万下⇒2勝クラス・1600万下⇒3勝クラス)
また、リステッドレースはオープンレースとして換算
(※3)前走の馬体重の増減率は前々走レース時と比較して算出。前々走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「前走レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

「皐月賞」の傾向とは?

枠番の傾向

 それでは「枠番」の傾向からです。「複勝率」を見ると「4枠」が最も高く、「3枠」・「5枠」に関しては「複勝数」が直近5年間で分布しなかったことが分かります。10年間での「複勝率」の移動推移を見ても分かる通り、「4枠」が有利であることはほぼ間違いないと言えるでしょう。
 また、移動推移から「1枠」・「7枠」の「複勝率」がここ数年で上昇しており傾向としては注目したい点です。「2枠」・「6枠」に関しても比較的に高めの水準で安定した推移をしているので悪くはないでしょう。総じて、「3枠」・「5枠」でなければ問題は無さそうです。

オッズ・前走レースのオッズ

 「オッズ」・「前走レースのオッズ」ともに低オッズであればあるほど有利という堅いレースになりやすい傾向になっています。最低でも基本的には「7.2≦~<21.6」倍を目安に考えましょう。
 「複勝率」の移動推移を見ても低オッズの方が有利であるレースであることは明白で、むしろ「オッズ」・「前走レースのオッズ」ともに「2.4≦~<7.2」倍の「複勝率」がここ数年で上昇し、「7.2≦~<21.6」倍・「21.6≦~<64.8」倍の「複勝率」が低下しているのでより堅いレースになっています。荒れるレースとなる可能性は傾向からして低いと見ていいでしょう。

斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率

 「斤量馬体重比率」は11.6<~≦12.2%の「複勝率」が低く、その前後の階級である「11.0<~≦11.6」%・「12.2<~≦12.8」%が比較的に高い傾向です。「複勝率」の移動推移を見ても「11.0<~≦11.6」%は安定して「複勝率」が高く、一方で「12.2<~≦12.8」%はここ数年の間に「複勝率」が上昇しているので注目したいです。また上昇している階級としては「10.4<~≦11.0」%も挙げられます。
 
 「前走レースの斤量馬体重比率」は比較的幅広い階級に「複勝数」が分布しており、基本的には「出走数」の分布傾向と一致しているようです。「複勝率」の移動推移と併せて見ると「斤量馬体重比率」と違い、「12.2<~≦12.8」%の「複勝率」が比較的に低い傾向であり続けていることが分かります。また「9.8<~≦10.4」%の「複勝率」が高い傾向ですが、母数が少なく「複勝率」の移動推移も低下傾向ではあるので信用性はあまりないと思われます。それ以外の「複勝数」が分布している階級に関しては「複勝率」に差が出にくくなっている推移傾向なので「12.2<~≦12.8」%以降が不利であることを覚えておけば問題ないでしょう。

馬体重・前走レースの馬体重

 「馬体重」と「前走レースの馬体重」は比較的幅広い階級に「複勝数」が分布しており、「500<~≦520」kgを除けば基本的には「出走数」の分布傾向と一致しているようです。「複勝率」に関してもそれらに比例し上昇している傾向のように見えます。「複勝率」の移動推移を見ると、「500<~≦520」kgの馬の「複勝率」が低下傾向になっているため警戒した方が良さそうです。一方で「480<~≦500」kgの馬は安定して比較的に「複勝率」が高いので、信用性は非常に高いと言えるでしょう。またここ数年で「520<~≦540」kgの「複勝率」が上昇しており注目したい点ではあります。

馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率

 「馬体重増減率」は「複勝率」は前走レースよりも軽くなっている馬の方が比較的に有利な傾向になっています。特に「-1.0<~≦0.0」%と「0.0<~≦1.0」%では大きく差が付いているので目安としては前走レースから馬体重に変化のない馬か減少している馬となります。「複勝率」の移動推移を見ると、「-1.0<~≦0.0」%の「複勝率」が安定して比較的に高く、ここ数年の傾向では「-2.0<~≦-1.0」%の「複勝率」が上昇しているので注目したい点です。
 「-3.0<~≦-2.0」%・「2.0<~≦3.0」%に関しては過去10年間で見ても母数が少ないのでデータの信用性はないと判断していいと思います。
 
 「前走レースの馬体重増減率」は「馬体重増減率」の逆で比較的に前々走レースよりも重くなっている馬の方が有利な傾向になっています。より詳細に分析するために「複勝率」の移動推移を見ると、「1.0<~≦2.0」%の「複勝率」が安定して比較的に高いため信用性は高いと言えます。一方で、「2.0<~≦3.0」%の「複勝率」は低下傾向なので重くなり過ぎた馬は警戒した方が良さそうです。また、「馬体重増減率」と同様にここ数年で「-2.0<~≦-1.0」%の「複勝率」が上昇傾向なので注目したいところです。

レース間隔&前走レースのコース距離・場所・格付け

 「レース間隔」と前走レースの「格付け」・「競馬場」・「コース距離」の傾向です。
 
 「レース間隔」としては「複勝率」で比較すると「中12週~」の鉄砲明けの馬が特出して高く、「複勝率」の移動推移を見ても最近のトレンドであると言っていいと思います。一方で「中2週~中3週」・「中6週~中7週」は「複勝率」が低下傾向になっているので警戒が必要です。
 
 「前走のコース距離」は「芝1600」の「複勝率」が高く、「芝1800」・「芝2000」は大差なしでそれ以外は過去10年で「複勝数」なしという傾向です。「複勝率」の移動推移を見ても「芝1600」が最近のトレンドであると言っていいので注目したいところです。
 
 「前走レースの競馬場」は「東京」の「複勝率」が最も高く、「複勝率」の移動推移を見ても「東京」が最近のトレンドであると思われます。
阪神」・「中山」に関しては安定して推移をしていますが、少しずつ低下してきているのが気掛かりです。それほど大きな影響はないと思いますが、数年前に比べれば「東京」のほうがより有利な傾向になっていると言えます。
 「京都」に関しても「複勝率」が低下傾向になっていますが、改修工事の影響もあるので一概に明確な傾向であるとは考えにくいです。あまり気にしなくてもいいのではないかと思います。
 
 「前走の格付け」に関しては「G1」だった馬の「複勝率」が移動推移を見ると上昇傾向であることが分かります。また、「G2」よりも「G3」だった馬の方が安定して比較的に「複勝率」が高い傾向なので「G3」の方が有利と言えます。
 総合的に考えると、前走レースとして有利な候補は以下の通りです。

  • 中8週共同通信杯(G3)」

まとめ:現時点での「推奨馬」と「注目馬」は!?

 「推奨馬」は「ジャンタルマンタル」と「ジャスティンミラノ」になります。
 ともに有利な前走レースである「共同通信杯(G3)」を走っており「ジャスティンミラノ」は「枠番」・「前走レースのオッズ」・「前走レースの斤量馬体重比率」の3要素で有利な傾向の範囲内に、「ジャンタルマンタル」はそれに加えて「前走レースの馬体重」でも有利な傾向に該当しています。
 「タイム評価」では「ジャンタルマンタル」は「走破タイム平均指数」:全体5位・「上がりタイム平均指数」:全体8位となっており総合力で見れば安定感のある優秀な馬と言えるでしょう。「ジャスティンミラノ」に関しては上述した通り、「上がりタイム平均指数」:全体2位であるため末脚勝負となったら間違いなく有利な馬です。
 「ジャンタルマンタル」は安定感があるので複勝圏内に入る可能性は極めて高く、「ジャスティンミラノ」はレース展開によるところも多いけれども爆発力はピカイチという評価になります。
 
 「注目馬」は「シンエンペラー」と「レガレイラ」と「アーバンシック」です。
 「シンエンペラー」は「枠番」・「前走レースのオッズ」・「前走レースの馬体重」・「前走レースの馬体重増減率」・「前走レースの斤量馬体重比率」の5要素で有利な傾向と一致しており、「タイム評価」も「走破タイム平均指数」:全体2位であるので能力としては申し分ないと言えます。

 「レガレイラ」は「枠番」・「前走レースの馬体重」で比較的に不利な傾向ではありますが、その他の項目では良傾向ではあります。何よりも「タイム評価」は「走破タイム平均指数」:全体3位・「上がりタイム平均指数」:全体4位となっており総合的に見れば最優秀な馬です。「ホープフルステークス(G1)」を制した馬なので無事走れば問題なく複勝圏内に入るでしょう。

 「アーバンシック」は「レガレイラ」と同様に「枠番」・「前走レースの馬体重」で比較的に不利な傾向ではありますが、その他の項目では良傾向ではあります。「上がりタイム平均指数」:全体3位であり、人気もそこそこ上位に入りそうな状況なので伏兵としては十分に期待できるのではないでしょうか。

 以上が「推奨馬」と「注目馬」になります。

今回の記事は以上になります。閲覧ありがとうございました!!

追悼

 昨日、藤岡康太騎手の訃報がありました。容体が良くないことは聞いていましたが、このような結果になってしまったのはあまりに悲しく、悔しく、残念でなりません。昨年末にマイルチャンピオンシップを勝ってから上向きな戦績になっており、今年は大躍進するだろうと思っていた矢先であったので本当に、本当に、残念です。
 今までお疲れ様でした。天国でどうか見守っていてください。