どうも皆さま、今回は3歳女王決定戦である「優駿牝馬(オークス)(G1)」の「レース傾向」の分析&解説と「タイム評価」をしていきます。
「優駿牝馬(オークス)(G1)」は名前通りイギリスで歴史ある3歳牝馬戦「オークスステークス(G1)」を模範として創設されたレースであり、ティアラ3冠の中でもまさに3歳牝馬の頂点を決める一戦となります。
ちなみになぜ本家の「オークスステークス(G1)」が「オークス」=「Orks(樫の木)」という名称なのかというと、初めてレースが行われた場所が「樫の木の森」であったことが由来となっています。そして、そのレース場を所有していたのが「ダービーステークス(G1)」の名前の由来である「ダービー卿」になるのです。
今回は過去5年間の「出走数」・「複勝数」・「複勝率」の3観点と過去10年間の「5年複勝率」の推移、過去5レースの「走破タイム」&「上がりタイム」から「タイム評価」を行って解説をしていきます。
解説の前に:データ対象と統計項目について
本ブログでは「過去5年間のデータ」での統計を推奨しているため、本記事でもその方針に則って統計を取り分析を行います。
データ対象
本記事で解説する「レース傾向」は「2019年~2023年」までの期間で「「優駿牝馬(オークス)(G1)」に出走し完走した馬」を「データ対象」とします。降着のあった馬に関しては、状況等を確認したうえで「降着後の順位」を参照しています。
また、「前走レースのデータ」は、前走が「海外レース」の場合は国内レースと同様のデータを取得できないため、「最後に出走し完走した「国内レース」」を前走レースの参考データとします。前走が「未出走」または「未完走」の場合も同様に「最後に出走し完走した「国内レース」」を前走レースの参考データとします。
統計項目
データ対象から抽出するデータは「本レース項目」と「前走レース項目」の2種類に分けました。それぞれに該当する項目は以下になります。
本レース項目
・枠番
・斤量馬体重比
・オッズ
・馬体重
・馬体重の増減率(※1)
・レース間隔
以上、7項目
(※1)馬体重の増減率は前走レース時と比較して算出。前走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。
前走レース項目
・前走レースの開催競馬場
・前走レースの格付け(※2)
・前走レースの斤量馬体重比
・前走レースのコース距離
・前走レースの馬体重
・前走レースの馬体重の増減率(※4)
以上、5項目
(※2)条件戦のクラスは現行の勝数による分け方を基準とし、過去のクラス分けは現行の基準で換算。(500万下⇒1勝クラス・1000万下⇒2勝クラス・1600万下⇒3勝クラス)
また、リステッドレースはオープンレースとして換算。
(※3)前走の馬体重の増減率は前々走レース時と比較して算出。前々走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「前走レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。
「優駿牝馬(オークス)(G1)」の傾向とは?
枠番「ここ数年で4枠有利な傾向に」「6枠は10年間でも不利」
それでは「枠番」の傾向からです。「複勝率の推移」を見ても分かる通り、ここ数年で突出して「4枠」が有利な傾向になってきています。一方、ここ数年で「1枠」の「複勝率」が低下しているのは気になるところです。他の枠番に比べればまだ高めではあるので不利な傾向とは言い切れませんが慎重に選びたいところです。
10年間の推移でも特に不利な傾向なのは「6枠」です。昨年「ハーパー」が2着で入りましたが、ここ10年間ではそれ以外に例はありません。「タイム評価」や他の項目の傾向が良くなければ避けた方が良いでしょう。
斤量馬体重比・前走レース斤量馬体重比「11.6%<~≦12.2%が鉄板」
「斤量馬体重比」・「前走レース斤量馬体重比」はともに「11.6%<~≦12.2%」の階級が鉄板と言えるレベルで有利な傾向になっています。直近5年間の「複勝数」も「5」を超えており、「2016~2020年」の期間以降はトップを維持し続けているので最も安定していると言えます。
一方で、「11.0%<~≦11.6%」と「12.2%<~≦12.8%」の階級はここ数年で低下し続けており、「11.6%<~≦12.2%」と大きく差が出始めているので注意したいところです。
オッズ・前走レースオッズ「2.4倍≦~<7.2倍が最も安定的」
「オッズ」は他のレースと比較しても幅広く「複勝数」が分布していますが、基本的には低オッズ有利な堅実なレースになりやすい傾向です。特に「複勝数」が「5」以上の階級としては「2.4≦~<7.2」倍が該当しており、最も安定しています。
「前走レースのオッズ」に関しては「オッズ」と同様に低オッズ有利な傾向ですが、「2.4≦~<7.2」倍・「7.2≦~<21.6」倍の「複勝数」が「5」以上になっており、信頼性が高いと言えます。
馬体重・前走レース馬体重「目安としては440kg<~≦480kg」
「馬体重」・「前走レース・馬体重」はともに「440<~≦460」・「440<~≦460」の「複勝数」が過去5年間で「5」以上あり、「複勝率の推移」を見てもここ数年でトップの「複勝率」になっているので信頼性が高いです。一方で「480<~≦500」kgの階級はここ数年で低下していき、直近5年間の統計ではとうとう「複勝数」が「0」になってしまったので避けた方が良いでしょう。
馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率「-1.0%<~≦0.0%が基本」「少なくとも±2.0%以内」
「馬体重増減率」の傾向は、「複勝数」が「-1.0%<~≦0.0%」の階級で「5」以上あり、「複勝率の推移」で見ても安定して他の階級と比較して高い傾向なので最も信頼できる階級と言えます。 「1.0%<~≦2.0%」に関してもここ数年で「複勝率」が上昇しているので有利な傾向になってきています。
一方で「0.0%<~≦1.0%」の階級は「複勝率の推移」で見るとここ数年で低下傾向であり、「-1.0%<~≦0.0%」・「1.0%<~≦2.0%」の階級と大きく差が出始めているので避けた方が良さそうです。。
「前走レース・馬体重増減率」は「複勝率の推移」を見ると階級による「複勝率」の差は狭くなりつつあります。しかし、「複勝数」で比較すると「-1.0%<~≦0.0%」のみが「5」以上あるので信頼性は最も高いと言えそうです。その他の階級を見ても「±2.0%」以内が基本ではあるのでその点を押さえておきたいです。
レース間隔&前走レースのコース距離・場所・格付け「前走レース「桜花賞(G1)」がド安定」「前走レース「忘れな草賞(L)」も好気配」
「レース間隔」と「前走レース」の「格付け」・「競馬場」・「コース距離」の傾向です。
「レース間隔」:「中4週~中5週」は「複勝数」が「5」以上あるので信頼できる階級と言えそうです。一方で「複勝率の推移」を見ると「中0週~中1週」の「複勝率」がで上昇傾向になっているのが注目したい点です。他のレースと違い間隔が短い方が有利な傾向に変わってきているのかもしれません。
「前走レース・コース距離」:「複勝率」としては「芝1600」・「芝1800」・「芝2000」で横並びになっているので差があまり出なそうです。強いて言えば「芝1600」は「複勝数」が「5」以上あるので、上述した「中4週~中5週」と同じく信頼できる階級と言えそうです。
「前走レース・競馬場」は「阪神」の「複勝率」が最も高く、「複勝数」も「5」以上あるので最も信頼できると言えそうです。その他の競馬場としても「東京」・「中山」以外は前例がないので比較的に限定される要素と言えます。
「前走レース・格付け」に関しては「G1」レースだった馬の「複勝数」が「5」以上あるので最も安定しています。「複勝率」としては「OP」レースだった馬が最も高く、「複勝率の推移」で見ても安定して高い傾向なので有利な要素と言えそうです。
「優駿牝馬(オークス)(G1)」:出走馬のタイム評価
タイムの評価方法は、各条件(競馬場・芝コース距離・馬場)における「走破タイム」&「上がりタイム」の分布が「正規分布」的になると仮定したうえで、NORM.DIST関数を用いて平均タイムと標準偏差から各タイムが分布上の何処に位置づけられるかを算出し、算出された値をそれぞれ「走破指数」・「上がり指数」とし、各馬が直近に出走し完走したレース5走の平均値を算出します。
その平均値に各レースの「走破タイム」&「上がりタイム」の「変動係数」を算出し、同じくNORM.DIST関数を用いて算出した値の平均値を掛け合わせることで補正を行い、算出された値を「平均走破指数」・「平均上がり指数」としました。
以下の表が今年の「優駿牝馬(オークス)(G1)」の出走予定馬の「平均走破指数」・「平均上がり指数」をまとめたものになります。
「赤色の数値」は全体1位、「オレンジ色の数値」は全体2位、「緑色の数値」は全体3位になっています。
走破タイム平均指数順位
全体1位「チェルヴィニア」:「走破タイム平均指数」は昨年の「アルテミスS(G3)」を勝利した「チェルヴィニア」が全体1位でした。「桜花賞(G1)」でも全体1位の評価でしたが、やはりレース間隔が長く空いてしまっていたことが要因となって13着の大敗となっていました。前走レースを踏まえても「走破タイム平均指数」が高いことから2歳時点での能力は非常に優秀であったことが窺い知れますが、逆に早熟であった可能性や脚部が整っていない可能性などが感じられます。「優駿牝馬(オークス)(G1)」で好走する可能性はまだあると思いますが、少し不安ではあります。
全体2位「タガノエルピーダ」:昨年の「朝日杯フューチュリティS(G1)」に珍しく牝馬として参戦し3着の好成績を残した馬です。前走レース「忘れな草賞(L)」でも見事に2馬身以上をつけて勝利しているので実力や傾向としても十分に好走が期待されます。
全体3位「ミアネーロ」:今年の「フラワーC(G3)」の勝利馬です。キャリア3戦で挑むことになるので経験不足が不安材料ですが、「上がりタイム平均指数」も全体の中位以上に入っているので能力は十分に高いと感じます。騎乗予定の「津村騎手」は先週の「ヴィクトリアマイル(G1)」でG1初勝利を飾ったばかりであり、勢いそのままに2勝目を勝ち取る可能性も期待できます。
上がりタイム平均指数順位
全体1位「ライトバック」:前走レース「桜花賞(G1)」では「32.8秒」の驚異的な末脚を見せつけ見事に3位入着を果たしました。今回は距離が延長されるのでどのような展開になるかが鍵になってきますが、末脚勝負となったならば間違いなく複勝圏内に入り込んでくるでしょう。「走破タイム平均指数」も極端に悪いわけではないので大敗する気配も薄いと思われます。
全体2位「スウィープフィート」:今年の「桜花賞(G1)」では惜しくも4着だった馬です。キャリア7戦している馬なのでその点が気掛かりですが、「走破タイム平均指数」も全体の中位以上に入っており安定して能力が高い馬と言えます。二代母にあたる「スイープトウショウ」は「優駿牝馬(オークス)(G1)」で2着の好成績を出し、その後は「秋華賞(G1)」を含めてG1レース3勝の成績を残した名牝です。祖母と同じく好走することが期待されます。
全体3位「ランスオブクイーン」:本記事を書いている段階では単勝13番人気の大穴が予想されている馬です。「未勝利戦」を勝ったばかりの馬なので個人的には非常に期待しづらい馬なのですが、大敗して最後尾近くで入線することも考えにくいと思います。展開や騎手の腕で上位に食い込む可能性はそれなりにあると言いたいですが難しい結果になるとは感じます。
まとめ:現時点での「推奨馬」と「注目馬」は?
「推奨馬」は「ステレンボッシュ」と「スウィープフィート」になります。
「ステレンボッシュ」は今年の「桜花賞(G1)」であり、その時点で期待が高いと言えます。「タイム評価」は総合的に判断すると全体上位に入る数値であり、何よりも「レース傾向」は出走馬の中で最も噛み合っています。ティアラ2冠も十分に見込めるのでもちろん「推奨」です。
「スウィープフィート」は現状で数値が分かっている項目で評価しても「レース傾向」と非常に噛み合っており、「タイム評価」を総合的に見ると最も高い数値をしているので期待値は最も高いと言えます。キャリア7戦していることが唯一の懸念点ですが、一昨年に単勝10番人気で3着に入り込んだ「スタニングローズ」も同様のキャリア7戦であり、前例はあるのでしっかりと可能性があります。
「注目馬」は「ミアネーロ」・「チェルヴィニア」・「ライトバック」です。
3頭ともに「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」でピックアップした馬であり、特に「チェルヴィニア」・「ライトバック」はともに「レース傾向」との相性も良好であるので好走の可能性は十分にあります。
ただ、「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」で話した通り、「チェルヴィニア」は「桜花賞(G1)」での大敗が気掛かりであり、 「ライトバック」は距離が延長されることに不安があるので「注目馬」に留めました。
一方で「ミアネーロ」は「レース傾向」の相性が良くないので、総合的な「タイム評価」は全体上位に入る数値ですが、「注目馬」に留めました。
以上が「推奨馬」と「注目馬」になります。
今回の記事は以上になります。閲覧ありがとうございました!!