【レース解説2024】過去5年間はG1ホース泣かせ!?「中山記念」の傾向とは?

レース別記事

 どうも皆さま、今回の記事は今週末に行われる「中山記念」のレース傾向解説の記事になります。過去のレース解説と同様に、「出走数」・「複勝数」・「複勝率」の三つのデータを中心に分析していきますので宜しくお願い致します。

今年の「中山記念」の特徴とは?

 「中山記念」と言えば、古くからある「G2」レースということもあってここ30年間で見たとしても強豪馬が多数参戦するレースとなっております。また昨今は「ドバイ国際競走」や「クイーンエリザベスカップ(香港)」などの海外レースを目標としている馬が「叩き」として出走していることも多々あります。
 一方で、過去5年間で「中山記念」を勝った後にG1ホースとなった馬はいるのですが、既にG1ホースになっている馬が「中山記念」を勝ってはないのです。
 そういったジンクス的な面で言うと、「ソールオリエンス」・「ジオグリフ」は少し気にしてしまうかもしれません。特に「ジオグリフ」は去年ダート中心だったので、久しぶりの芝レースでどうなるのか判断が難しいところになります。
 逆の傾向があるデータとして、既に重賞を勝っている馬が「中山記念」を勝っており、初めての重賞勝ちが「中山記念」の馬は過去10年間で見たとしてもいないのです。
 そう考えると、「ドーブネ」・「マテンロウスカイ」・「ボーンディスウェイ」・「マイネルクリソーラ」・「テーオーシリウス」・「ホウオウリアリティ」は少しマイナス評価かもしれないです。
 その反対に「レッドモンレーヴ」・「ソーヴァリアント」・「ヒシイグアス」・「イルーシヴパンサー」・「エルトンバローズ」・「ラーグルフ」・「タイムトゥヘヴン」・「エエヤン」はチャンスがあるように見えます。
 それ以外の面では今年も実力の高いメンバーが揃ったという印象です。当日の天候が雨の予報ではあるのでパワーのある馬が有利になってくると思いますが、レベルの高いレースになると予想されます。

解説の前に:データ対象と統計項目について

 本ブログでは「過去5年間のデータ」での統計を推奨しているため、本記事でもその方針に則って統計を行います。

データ対象

 本記事で解説する「中山記念」は「2019年~2023年」までの期間で中山記念」に出走し完走した馬」を「データ対象」とします。
 また、前走レースのデータは、前走が「海外レース」の場合は国内レースと同様なデータを取得できないので、最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。
 前走が「未出走」または「未完走」の場合も同様に、最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。
 加えて、「2019年」に出走した「トルークマクト」は前走レースが「障害レース」だったため、最後に出走し完走した「平地レース」を参考データとしました。

統計項目

 データ対象から抽出するデータは「本レース項目」と「前走レース項目」の2種類に分けました。それぞれに該当する項目は以下になります。

本レース項目

枠番
性別
年齢
オッズ
馬体重
馬体重の増減率(※1)
斤量馬体重比率
レース間隔
以上、8項目
(※1)馬体重の増減率は前走レース時と比較して算出。前走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

前走レース項目

前走レースの開催競馬場
前走レースの格付け(※2)
前走レースのコース距離
前走レースの馬体重
前走レースの馬体重の増減率(※4)
前走レースの斤量馬体重比率
以上、6項目
(※2)条件戦のクラスは現行の勝数による分け方を基準とし、過去のクラス分けは現行の基準で換算。(500万下⇒1勝クラス・1000万下⇒2勝クラス・1600万下⇒3勝クラス)
また、リステッドレースはオープンレースとして換算
(※3)前走の馬体重の増減率は前々走レース時と比較して算出。前々走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「前走レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

「中山記念」の傾向とは?

枠番の傾向

 まずは枠番です。「複勝率」でみると「3枠」が突出して高く、それ以外は「内枠」よりも「外枠」の方が若干高い傾向があります。
 「3枠」が高いのは偶発的な偏りによるものとも考えられますが、中山開催の初週に行われるレースなので、まだ荒れていない内側のポジションを維持しつつ最内側の馬たちの壁になりながら走れることが有利になっているのかもしれません。
 「外枠」が有利なのは中山競馬場の直線が短いことが影響しているかもしれません。「逃げ馬」がもしも「外枠」に入って無理やりスタートからハナを切ったとしても、直線が短いことで差される前にゴールしやすいことが考えられます。特に「1800m」という中距離より短めのレースならばそういった事例が起こりやすくなっていると思います。

性別・年齢

 「性別」と「年齢」の傾向です。「性別」の傾向は圧倒的に「牡馬」の出走数が多いですが、「牝馬」の方が「複勝率」は高くなっています。「中山記念」は斤量の設定が別定で行われるレースなので斤量が牝馬に有利とは一概に言えないレースです。そのためこれは傾向として注目していいと思います。
 「年齢」は古馬レースでありがちな「4歳」が高い傾向になっています。「5歳」~「7歳」までは差がそれほどありませんが、「8歳」以降は全く「複勝実績」がないので評価は下げて考えるべきだと思います。

本レースのオッズ・前走レースのオッズ

 「反省メモ」の記事でも触れた通り、今回から度数分布表を用いていた数値データは階級を変更して掲載してますが、オッズに関しても一つの階級の幅を「下限・上限の比=1:3」になるように変更しました。オッズに関しては階級の幅を下限・上限を等比にする方法でも「正規分布」になることはあまりないので、過去の「下限・上限の比=1:2」でも特段に問題はないと思いますが、いくつかの統計データを鑑みて「1:3」の方が正確な可能性があると至ったため変えることにしました。
 そのうえでの「中山記念」の傾向ですが、基本的には倍率が低い方が「複勝率」が高く「64.8~194.4」倍以降では全く実績が無いという傾向なので、比較的に堅いレースになると思われます。
 ただ、「前走レースのオッズ」が「7.2~21.6」倍と「21.6~64.8」倍で複勝率があまり変わらないので、前走が人気下位でもそれ以外の傾向が適していれば注目していいのではないかと思います。
 もちろん「本レースのオッズ」・「前走レースのオッズ」が両方とも低倍率の馬ならば軸にしていいでしょう。

本レースの斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率

 本レースと前走レースの「斤量馬体重比率」はそこまで特出したような傾向はありませんでした。比較的には軽い方が有利な傾向になっているとは思われます。
 レース全般の話として斤量馬体重比率が「12.2」%を超えると「複勝率」が低下する傾向があると言われているのですが、本レースと前走レース共に「12.2~12.8」%とそれより比率の低い階級で大きな差が出てはいないので「中山記念」に関してはその傾向は軽視していいと思います。

本レースの馬体重・前走レースの馬体重

 「馬体重」に関しては、本レースにおいては平均的な重さの「480~500」kgとそれより少し重い「500~520」kgが「複勝率」としては高くなっています。中山競馬場は直線の急坂を上るためにパワーが必要となってくるので、がっしりとした重めの馬が有利になっているのかもしれません。一方で「520~540」kgになると「複勝率」が下がるので、極端に重すぎると不利になってしまうとも考えられます。
 前走レースの傾向は「出走数」と「複勝数」が似た分布しているため、平均的な重さの「480~500」kgであった馬の「複勝率」が最も高いという結果になりました。「馬体重増減率」の分析でも触れますが、本レースの馬体重とよりも平均的な馬体重の「480~500」kgであった馬が多いので前走レースよりも体重を増やしている馬は有利になっていると考えらます。
 総合的に判断すると平均的な馬体重の馬が「複勝」に入りやすいと言えます。「中山記念」の距離がマイルより長く、中距離としては短い「1800m」という長さであるためこのように平均的な重さが有利という結果になっているのかもしれないです。

本レースの馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率

 「馬体重」でも少し触れましたが、「本レースの馬体重増減率」は「複勝率」の傾向を見ると馬体重が増えている馬の方が有利になっています。「前走レースの馬体重増減率」に関しても似た傾向がありそうですが、「-1.0~0.0」%の微減または変動なしの全体割合が多いので一概には言えなさそうです。
 少なくとも「本レース」・「前走レース」ともに「-2.0~-1.0」%以上に馬体重が減ってしまうと不利であると考えられます。やはり、パワーが求められる中山競馬場だからこそこういった傾向になるのではないかと思います。

前走レースの格付け・競馬場・コース距離

 次に前走レースの「格付け」・「競馬場」・「コース距離」の3項目の統計です。「前走の格付け」としてはやはり前走が「G1」だった馬の「複勝率」が高いのですが、次に高いのが「G3」だった馬になります。これは「前走レースの競馬場」が「京都」・「中山」だった馬の「複勝率」が高いことと、「前走レースのコース距離」が「芝1600m」・「芝2000m」の「複勝率」が高いことを踏まえると、「京都金杯」・「中山金杯」を前走走っていた馬が好走しやすいという傾向となります。
 「G1」レースとしては「前走レースのコース距離」の「複勝率」のデータを踏まえると、「前走レースの競馬場」が「中山」の場合は「有馬記念」、「京都」であるならば「マイルチャンピオンシップ」などが挙げられます。

レース間隔

 レース間隔は「データの個数」が少ない箇所もありますが、「複勝率」は「中3週」と「中5週~中8週」、「中12週以上(鉄砲明け)」が高くなってはいます。「中5週~中8週」に関しては上述の「前走レースの格付け・競馬場・コース距離」で挙げた「有馬記念」・「京都金杯」・「中山金杯」であった馬が挙げられます。
 「中3週」は前走レースが「白富士ステークス」であった馬の「複数実績」が複数あったため比較的に高くなっているのだと思われます。
 総合的に判断すれば、前走レースが「有馬記念」・「京都金杯」・「中山金杯」・「マイルチャンピオンシップ」であった馬は軸にして検討して良いと思います。加えて、「白富士ステークス」であった馬も他のデータの傾向と併せて検討して良好であるならば予想に加えていいと思います。

結局、どの項目の傾向を注目すればいいの?

以上のデータの傾向の強弱から項目に優先順位を付けるとするならば以下のようになります。

  1. 本レースの馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率
  2. 前走レースの格付け・競馬場・コース距離
  3. レース間隔
  4. 性別・年齢
  5. 本レースの馬体重・前走レースの馬体重
  6. 本レースのオッズ・前走レースのオッズ
  7. 枠番
  8. 本レースの斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率

 一番はっきりとしていたのは「馬体重増減率」の傾向であったため、優先順位は最上位と考えます。
 「前走レースの格付け・競馬場・コース距離」と「レース間隔」に関しても前走レースを特定しやすいデータであったので優先度は上位であると判断します。
 「性別・年齢」は「牝馬」の傾向が非常に顕著であったのですが今年は「牝馬」が出走しないので残念です。しかし、「年齢」に関しても若いほど好走しやすく「8歳」以降は芳しくないという分かりやすい傾向であるため優先度は高めに判断します。
 「本レースの馬体重・前走レースの馬体重」は平均的な馬体重か少し重いくらいが好走しやすいという顕著な傾向があったのですが、出走数の分布と似た傾向であるためあまり差が出にくいデータになるので優先順位は低めに考えます。
 「オッズ」の傾向は一般的なレースの傾向とさほど変わらないので特異的であるかで考えると優先度は下になると思います。
 「枠番」は特異的な傾向に見えますが、他のデータより優先すべきほどのはっきりとした傾向であるとは判断できなかったので個人的には評価が低めになっています。「枠番」に関しては各自の判断で優先度を変動して頂いて構わないと思います。
 「本レースの斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率」はどの階級でもそれほど差がなく上限階級を把握できればいいだけなので優先順位は最下位としました。

まとめ:「推奨馬」と「注目馬」は!?

 以上の優先順位から考えると、「推奨馬」は「ソールオリエンス」・「イルーシヴパンサー」・「エルトンバローズ」の3頭です。
 「ソールオリエンス」は「馬体重」が若干軽めの馬ですが、「皐月賞馬」であることを考えればマイナスに考える必要もないと思います。成長して馬体を大きくさせている可能性もあるためむしろプラスの要素が多くなると考えます。
 「イルーシヴパンサー」・「エルトンバローズ」は2頭とも前走レースが「マイルチャンピオンシップ」であり、既に重賞2勝の実力馬です。前走レースの「馬体重」と「増減率」も傾向とマッチしているため軸としては何の問題もないと判断します。
 「注目馬」としては前走レースが「京都金杯」だった「ドーブネ」・「タイムトゥヘヴン」、「中山金杯」だった「ボーンディスウェイ」・「マイネルクリソーラ」です。
 4頭中3頭は重賞未勝利の馬ですが、「前走レースのオッズ」は過去に複勝実績がある「21.6~64.8」倍までの馬なので複勝に入っても何らおかしくのないと思います。「タイムトゥヘヴン」は既に重賞を勝っている馬なので、4頭の中では一番の「注目馬」です。出遅れ気味の馬ではありますが実力は十分にあり、複数の項目から見て好走しやすい馬の傾向になっています。
 以上が「推奨馬」と「注目馬」になります。

今回の記事は以上になります。閲覧ありがとうございました!!