【重賞レース2024】春の仁川、桜のティアラは誰の手に!?「桜花賞」の傾向とは?

レース別記事

 どうも皆さま、とうとうクラシックの季節になりましたね。今回は「桜花賞(G1)」の「レース傾向」と出走予定馬の「タイム評価」を分析&解説していきます。
 クラシックレースの1戦目は牝馬3冠の初戦「桜花賞(G1)」、阪神マイル戦というスピードレースとなっています。2歳牝馬の女王決定戦である「阪神ジュベナイルフィリーズ」と同じ条件のレースになっていますが、果たして「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」を好走した馬が有利なのかどうなのか、気になるところです。
 今回も「出走数」・「複勝数」・「複勝率」の3観点から「レース傾向」を分析しつつ、さらに3歳限定戦なので「タイム評価」も行っていきます。

桜花賞2024:出走馬のタイム評価

 先週と&今週の記事で「2歳限定戦」と「3歳限定戦」の各種競馬場&芝コース各種距離&各種馬場での平均走破タイム&平均上がりタイムを掲載しました。
 (2歳限定戦https://keibaanalysis.com/archives/475)
 (3歳限定戦https://keibaanalysis.com/archives/432)
 これらの二つのデータを収集し終えたことで基本的に5月までの3歳限定戦に関しては正確にタイムを評価することが可能になりました。(古馬戦と6月以降の3歳限定戦には「4歳以上戦」と「3歳以上戦」のデータが必要になるので収集中です)
 タイムの評価方法は、各条件(競馬場・芝コース距離・馬場)における「走破タイム」&「上がりタイム」の分布が「正規分布」的になると仮定したうえで、NORM.DIST関数を用いて平均タイムと標準偏差から各タイムが分布上の何処に位置づけられるかを算出し、算出された値をそれぞれ「走破タイム指数」・「上がりタイム指数」とし、各馬が直近に出走し完走したレース5走までの「走破タイム指数」・「上がりタイム指数」のそれぞれの平均値を比較して評価します。
 以下の表が今年の「桜花賞(G1)」の出走予定馬の「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」をまとめたものになります。


 「赤色の数値」は「全体1位」、「オレンジ色の数値」は「全体2位」、「黄緑色の数値」は「全体3位」になっています。
 数値的に見ると「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」ともに「チェルヴィニア」が「全体1位」の評価になっており、かなり抜きん出ていることが分かります。
 「チェルヴィニア」は2歳時点で「アルテミスS(G3)」を勝利しましたが、脚部不安の影響で「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」を回避して直行で「桜花賞(G1)」に参戦している馬です。そのためタイム評価は2歳限定戦のみの評価になっていますが、それを考慮しても出走馬の中では優秀な部類に入ると思われます。別レースの話になりますが、一昨年の「皐月賞(G1)」では前年の「東スポ杯2歳S(G1)」を勝ってから直行で出走し「2位」になった「イクイノックス」の例があり、2歳時点で優秀な成績を出している馬であればクラシックレースへ直行というローテーションになっても十分好走する可能性があると言えます。
 「走破タイム平均指数」の「全体2位」は「コラソンビート」、「上がりタイム平均指数」の「全体2位」は「ライトバック」になっています。
 「コラソンビート」は2歳時点で牡馬混合の「京王杯2歳S(G2)」をレコードタイムで勝利し、「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」は3着と好成績を残しています。3歳になった今年はトライアルレースの「フィリーズレビュー(G2)」で2着となって優先出走権を獲得しましたが、2歳時点での成績がかなり良かったのにも関わらずトライアルレースで2着になってしまったのは少し不安かもしれないですが、平均的に見れば「走破タイム平均指数」の評価は良好と言えます。
 「ライトバック」は今年の「エルフィンS(L)」を勝利した馬で2歳時は「アルテミスS(G3)」で4着となっています。デビュー戦では出走馬全体1位の「32.8」秒という極めて速い「上がりタイム」を出し、上述した「チェルヴィニア」が勝利した「アルテミスS(G3)」では全体の3位、今年勝利した「エルフィンS(L)」でも全体の2位の「上がりタイム」なので末脚は極めて抜群と言えます。
 「走破タイム平均指数」の「全体3位」は「キャットファイト」、「上がりタイム平均指数」の「全体3位」は「クイーンズウォーク」になっています。
 「キャットファイト」は今年の「アネモネS(L)」を勝った馬ですが、2歳時の「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」では「10着」と凡走に沈んでいました。しかし、それ以外のレースを見てみると成績はそれほど悪くはなく、美浦所属の馬のため遠征になってしまったことが起因しているのではないかと思います。「桜花賞」も「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」と同条件のレースなので、その点を考えると本来の能力を発揮しにくい可能性が高いです。
 「クイーンズウォーク」は今年の「デイリー杯クイーンC(G3)」を勝った馬です。デビュー戦から出走レース全てで1位の「上がりタイム」を出し続けており末脚が優秀な馬と言えます。何よりも馬体が牝馬としてはかなり大きい部類なのが特徴で、半兄に「朝日フューチュリティ(G1)」の勝利馬である「グレナディアガーズ」であることも印象的です。
 以上が「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」の上位3位になっている馬たちの紹介です。
 
 この他に「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」が「90」を超えている馬として、「アスコリピチェーノ」と「イフェイオン」と「マスクオールウィン」が挙げられます。
 「アスコリピチェーノ」は昨年の2歳時に「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」を勝利しており、おそらく1番人気に押されるであろう馬です。「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」ともに「90」を超えており、総合的に見れば「チェルヴィニア」の次に評価される馬とも言えます。
 「イフェイオン」と「マスクオールウィン」はおそらく穴馬人気が予想される馬ですが「走破タイム平均指数」で見れば「90」を超えており、「マスクオールウィン」に関しては「上がりタイム平均指数」も全体の「5位」の評価となっているため好走が期待できます。2頭とも前走レースが「フェアリーS(G3)」でそれぞれ1位・2位の好成績となっているため実績的にも可能性は十分にあると言えます。
 以上で出走馬の「タイム評価」となりますが、とは言え「レース傾向」と違う馬となればこれらの「タイム評価」とは違う結果になってします可能性は十分にあります。
 果たしてどのような馬に向いた「レース傾向」であるのか!?だいぶお待たせしましたが、「レース傾向」の分析を見ていきましょう。

解説の前に:データ対象と統計項目について

 本ブログでは「過去5年間のデータ」での統計を推奨しているため、本記事でもその方針に則って統計を取り分析を行います。

データ対象

 本記事で解説する「桜花賞」は「2019年~2023年」までの期間で「桜花賞に出走し完走した馬」を「データ対象」とします。
 また、前走レースのデータは、前走が「海外レース」の場合は国内レースと同様なデータを取得できないため、「最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。前走が「未出走」または「未完走」の場合も同様に「最後に出走し完走した「国内レース」を前走レースの参考データとします。

統計項目

 データ対象から抽出するデータは「本レース項目」と「前走レース項目」の2種類に分けました。それぞれに該当する項目は以下になります。

本レース項目

枠番
性別
年齢
オッズ
馬体重
馬体重の増減率(※1)
斤量馬体重比率
レース間隔
以上、8項目
(※1)馬体重の増減率は前走レース時と比較して算出。前走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

前走レース項目

前走レースの開催競馬場
前走レースの格付け(※2)
前走レースのコース距離
前走レースの馬体重
前走レースの馬体重の増減率(※4)
前走レースの斤量馬体重比率
以上、6項目
(※2)条件戦のクラスは現行の勝数による分け方を基準とし、過去のクラス分けは現行の基準で換算。(500万下⇒1勝クラス・1000万下⇒2勝クラス・1600万下⇒3勝クラス)
また、リステッドレースはオープンレースとして換算
(※3)前走の馬体重の増減率は前々走レース時と比較して算出。前々走レースが「未出走」・「未完走」または「海外レース」の場合は「前走レース出走時点で最後に完走している国内レース」のデータを参照し、そのレ―スにおける馬体重と比較して算出。

「桜花賞」の傾向とは?

枠番の傾向

 それでは「枠番」のデータから見ていきましょう。「複勝率」を見ると「2枠」が最も高く、「6枠」に関しては「複勝数」が直近5年間で分布しなかったことが分かります。「2枠」の隣の最内「1枠」も比較的には高い部類の「複勝率」になっているため内側有利な印象的ですが、最外「8枠」でも「1枠」と同等の「複勝率」になっているため、絶対的に有利とは言い切れないです。比較的には外側よりも有利な傾向という程度の評価と言えます。

オッズ・前走レースのオッズ

 「オッズ」に関しては低オッズであればあるほど有利という堅いレースになりやすい傾向になっています。最低でも基本的には「7.2≦~<21.6」倍を目安に考えましょう。
 「前走レースのオッズ」も「複勝数」の分布が比較的に狭く限定的なので、ふるい落としに使う基準としては非常に扱いやすいと思われます。「オッズ」と同様に少なくとも「7.2≦~<21.6」倍までの馬を目安にしましょう。

斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率

 「斤量馬体重比率」は基本的に11.6<~≦12.2%までの比較的に割合が低いほうが「複勝率」としては有利に見えます。特に「前走レースの斤量馬体重比率」はよりその傾向が顕著で「11.0<~≦11.6」%から11.6<~≦12.2にかけて一気に「複勝率」が低下するので、比較的に割合が低いほうが有利であることが明白です。本番では比率が~≦12.2」%まで、前走レースでは「~≦11.6」の馬が狙い目となりそうです。

馬体重・前走レースの馬体重

 「馬体重」と「前走レースの馬体重」は重い方が有利という非常に分かりやすい傾向になっています。特に両項目とも「460<」kgから複勝率がグンと上がっているので、目安としては「460」kg超過の馬になってきます。ただし「500<~≦520」kgの馬の「複勝数」はないので、重すぎるのは不利に働く可能性があります。総合的に見れば「460<~≦500」kgに該当する馬が狙い目になってくると言えます。

馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率

 「馬体重増減率」は「複勝率」は前走レースよりも軽くなっている馬の方が比較的に有利な傾向になっています。特に「-1.0<~≦0.0」%と「0.0<~≦1.0」%では大きく差が付いているので目安としては前走レースから馬体重に変化のない馬か減少している馬となります。
 「前走レースの馬体重増減率」は「馬体重増減率」の逆で前々走レースよりも重くなっている馬の方が比較的に有利な傾向になっています。「複勝率」の変動を見ると「-2.0<~≦-1.0」%と「1.0<~≦0.0」%で大きく差が出ているので、減少幅はなるべく小さい方が良いと言えます。
 また、増加している場合も「3.0<~≦4.0」%の範囲では「複勝数」が分布しなかったので増加し過ぎも良くないと考えられます。基本的な幅としては「-1.0<~≦3.0」%の範囲が目安になると考えられます。

レース間隔&前走レースのコース距離・場所・格付け

 「レース間隔」と前走の「格付け」・「競馬場」・「コース距離」の傾向です。
 「レース間隔」としては「複勝率」で比較すると「中12週~」の鉄砲明けの馬が特出して高いです。それ以外では「中4週~中9週」にかけて「複勝数」が分布しており、特に「出走数」も比較的に多い「中4週~中5週」の「複勝率」が高いです。
 「前走のコース距離」は「芝1400」と「芝1600」に「複勝数」が集中的に分布しており、比較してみても「芝1600」の方が「複勝率」が如実に高いので基本的には前走レースが「芝1600」の馬に絞り込んだ方が良さそうです。
 「前走レースの競馬場」は「出走数」と「複勝数」の両方ともに比較的に高いのは「阪神」ですが、「複勝数」が少なめで「複勝率」が場所として「京都」と「東京」が挙げられます。この2場所に関しては該当する馬がいれば注目してもいいのではないかと思います。
 「前走の格付け」に関しては「G1」だった馬の「複勝率」が圧倒的に高く、それ以降も格付けが低くなっていくほど「複勝率」が低下していくので、「前走の格付け」はなるべく高い格付けであった馬を優先したいです。
 総合的に考えると、前走レースとして有利な候補は以下の通りです。

  • 中12週~アルテミスS(G3)」
  • 中12週~阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」
  • 中7週デイリー杯クイーンC(G3)」
  • 中4週チューリップ賞(G2)」

傾向の優先順位は?

以上のデータの傾向の強弱から項目に優先順位を付けるとするならば以下のようになります。

  1. 馬体重・前走レースの馬体重
  2. レース間隔前走レースのコース距離・場所・格付け
  3. 馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率
  4. オッズ・前走レースのオッズ
  5. 枠番
  6. 斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率

優先順位1位馬体重・前走レースの馬体重」:「馬体重」・「前走レースの馬体重」ともに重い方が有利という非常に分かりやすい傾向でした。両要素ともに「460<~≦500」kgという限られた範囲で有利な傾向なのでふるい落としとしても十分有効活用できます。よって、今回は優先順位を最上位にしました。

優先順位2位レース間隔前走レースのコース距離・場所・格付け」:有利なレースが特定しやすいはっきりとした傾向であったと思います。基本的には「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」・「デイリー杯クイーンC(G3)」・「チューリップ賞(G2)」であった馬を選びたいです。

優先順位3位馬体重増減率・前走レースの馬体重増減率」:「馬体重増減率」と「前走レースの馬体重増減率」で逆の傾向となっていました。「馬体重増減率」は「~≦0.0」%と馬体重の変化が無い馬か減少している馬を、「前走レースの馬体重増減率」は「-1.0<~≦3.0」%の比較的に減少幅が小さい馬かそれなりに増加している馬を注目しましょう

優先順位4位オッズ・前走レースのオッズ」:「オッズ」に関しては一般的なレースと同様な分布の傾向でしたが、「前走レースのオッズ」の分布範囲が限定的で判断材料に使えると思います。~21.6倍までなら考慮して良いでしょう。

優先順位5位枠番」:比較的には「1枠」・「2枠」の「複勝率」が高いので内側有利な傾向ではありますが、最外の「8枠」でも「1枠」と同等の「複勝率」なので絶対的な傾向ではないと思います。強いて言えば「6枠」は過去5年間で一度も「複勝数」が無く、隣の「7枠」も「複勝率」が比較的に低いので警戒した方が良さそうです。

優先順位6位斤量馬体重比率・前走レースの斤量馬体重比率」:今回は他の要素の特徴が強かったので比較すると優先順位が最下位になってしまいましたが、十分に傾向があったとは思います。本番では比率が~≦12.2」%まで、前走レースでは「~≦11.6」の馬が狙い目となりそうです。

まとめ:現時点での「推奨馬」と「注目馬」は!?

 「推奨馬」は「チェルヴィニア」と「アスコリピチェーノ」と「スウィープフィート」になります。
 「チェルヴィニア」は「前走レースのオッズ」・「前走レースの馬体重」・「前走レースの馬体重増減率」・「前走レースの斤量馬体重比率」の4要素で有利な傾向の範囲内に収まっており、前走レースの「アルテミスS(G3)」は一応傾向とも合致しています。さらに「タイム評価」は「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」ともに全体1位であるので文句なしと言えます。「アルテミスS(G3)」以降にレースへ出走していないため「レース間隔」が広くなっている点が少々気になりますが、3着内に入らない可能性は極めて低いと思います。
 
 「アスコリピチェーノ」は「前走レースのオッズ」・「前走レースの馬体重」・「前走レースの馬 重増減率」の3要素で有利な傾向の範囲内に収まっており、前走レースは「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」となっているため傾向と完全に合致しています。「タイム評価」も総合的に見れば「チェルヴィニア」の次に優秀な数値であり、こちらに関しても文句なしで有力であると言えます。
 
 「スウィープフィート」は「前走レースのオッズ」・「前走レースの馬体重」・「前走レースの馬体重増減率」の3要素で有利な傾向の範囲内に収まっており、前走レースは傾向と合致している「チューリップ賞(G2)」を勝利しているため可能性は十分に高いです。「タイム評価」は「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」ともに全体の中位ほどなのでそれほど評価はできませんが、低いわけではないので問題視することもないと思います。
 

 「注目馬」は「マスクオールウィン」と「イフェイオン」と「ステレンボッシュ」です。
 「マスクオールウィン」と「イフェイオン」は「前走レースのオッズ」・「前走レースの馬体重」・「前走レースの馬体重増減率」・「前走レースの斤量馬体重比率」の4要素で有利な傾向の範囲内に収まっており、「タイム評価」は「走破タイム平均指数」がともに「90」を超えているため能力としても全く問題ないどころか3着内に入る可能性が十分にあるくらいです。現状の様子では2頭とも穴馬扱いになると思いますが、好走する可能性は極めて高いと強く思っています。
 
 「ステレンボッシュ」は「阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)」で2着となった馬で、「タイム評価」は「走破タイム平均指数」・「上がりタイム平均指数」ともに全体8位となっており総合的に見れば良い能力の馬です。「枠番」が「6枠」なのが気になる点ですが、「前走レースのオッズ」・「前走レースの馬体重」・「前走レースの馬体重増減率」の3要素で有利な傾向の範囲内に収まっているのでまだマシなのかなと思います。上の2頭とは違い、現状の様子では人気上位~中位に収まると考えられるので「オッズ」としても問題なく傾向の範囲内に入ると思います。


 以上が「推奨馬」と「注目馬」になります。

今回の記事は以上になります。閲覧ありがとうございました!!